【読書感想】子育ては諭吉に学べ! 齋藤孝
どんな本?
福澤諭吉の教育論について、小学生前後の子どもを持つ親向けに筆者(齋藤孝)が分かりやすく解説した本。
福澤諭吉といえば慶應義塾を作った人ですが、時代が変化しても福澤の根幹の考え方は今に通ずるようです。
私は『学問のすすめ』を読んで非常に面白かったので、福澤関連でこちらも手に取りました。
本の内容と感想
この本は
1 すべての基礎は身体にあり
2 家風で品格を育てる
3 独立のための実学を身につけよ
4 交際は広く持て。親友はいなくてもいい
5 子どもに多くを求めない
という5つの柱で成り立っています。
私はとくに、1と5について心に響いたのでそのことを重点的に書きます。
1 すべての基礎は身体にあり とは?
人間も動物の一種であり、体が健康で鍛えられていることが一番大切であるということ。
小さい頃は知育よりも、生き生きと活動できること、積極的であること、他の子どもと楽しく遊べることが大切であると述べられています。
『学問のすすめ』では独立のための実学を身につけることの大切さが説かれていたので、「小さい頃はそんなことより元気に遊べ」だなんて、意外な感じがしました。
けれど、“健康で強靭な体”って、日頃から鍛えていなくてはすぐになれませんよね。
勉強するにも、何をするにも、体力って大切です。健康でエネルギーに満ちた体があれば、困難にも立ち向かう力が湧いてくるだろうし、何より体調が悪いとベストパフォーマンスなんてできないですもんね。
確かに福澤の言う通り、沢山体を動かして強いからだを作るのは、子どもにとって勉強よりも何よりも一番大切だなと感じました。
家で遊ぶのもいいけれど、積極的に外へ出よう!!
5 子どもに多くを求めない とは?
教育にとって環境が重要なことは言うまでもない。子どもに合った環境を見つけることに貪欲であってもかまわない。しかし環境を変えればどんな可能性でも花開くということはけっしてない。福澤は「遺伝子能力以上のことはできない」と断言する。教育とは植木屋の仕事のようなものだ。もともとの能力を十分に伸ばしてやることは必要だが、子どもに一方的な理想を押し付けたり、ましてや育てたあとで自分に見返りかあることを期待してはいけない。
どうですかこの文章。
植木屋のくだりとか、分かってはいることだけど見失いがちになってしまうことだなと気づかされました。
土を変えても肥料をやっても、タンポポを薔薇にすることはできないんですね。
なんか笑ってしまいますよね、昔の偉人だと思っていた福澤の言葉が現代にもぴったり当てはまるなんて。
タンポポでもツツジでも教育次第で薔薇になります、と言われたら聞こえは良いけれど理想論ぽいですね。福澤はかなり現実的な考え方をする人だったようです。
“向いている分野を伸ばすべき”というのはよく言われていますが、そうでないと本人も辛いですよね。
出来ないことに固執するよりも、出来ることを伸ばしていって、のびのびと育ててあげたいものです。
評価
なるほど度 ★★★★★
読みやすさ ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★
福澤諭吉の教育論はとても面白く、参考になります。
何度も読み返す本と言うよりは、一度読む本と言う感じかな。私は図書館で借りました。
筆者の文章は読みやすく、あっという間に読み終わりますので、ご興味のある方はぜひ図書館へ。
本の紹介
『子育ては諭吉に学べ!』齋藤 孝
2014年 筑摩書房 定価1300円+税
筆者について
齋藤 孝(さいとうたかし)
1960年うまれ
東京大学法学部卒業、同大学院教育学研究博士課程を経て、現在は明治大学文学部教授。
著書『声に出して読みたい日本語』など